遅すぎた遺言書

友人の父親は長年、祖父の経営する会社を支えてきた。祖父が引退後は父親が社長になっていた。また足が不自由になってからは、友人の母親が介護をしてきたそうだ。一方で、父親の弟は、自分で事業を興したが失敗し多額の借金を抱えることになり、祖父が借金の肩代わりをしてきた。祖父は自分の会社を継いでくれた友人の父親と、介護をしてくれている母親に財産を残したいと思っていたので、遺言書を残すと言っていたそうだ。そう言っていた直後に祖父は突然亡くなったそうだ。心不全だった。

葬儀後に、遺言書のことを思い出した父親は、弟とともに遺言書の検認をした。しかし、どうやら父親が書いた遺言書はまだ書き途中だったようで、完成したものではなかった為、いくつもの不備がみつかり、無効となってしまった。すると弟は無効になったと言うことは、財産は半分ずつということだよなと言い出したのだ。しかし、弟は過去に借金の肩代わりをして貰っているし、父親の面倒は一切見ていない。しかも、父親の財産の一部は自分が会社の経営を支えてきたことによるものでもあるのだ。それなのに半分はおかしいのではないかということになり、父親は弁護士に依頼したそうだ。

友人の父親はもう少し早く遺言書の作成に取り掛かってくれていたら、弟とこんな争うをせずにすんだのにと悔やんでいたそうだ。