遺言書さえあれば・・・

正月に母親から聞いた話だが、母親の古くからの友人が相続争いで大変なことになっているようだ。長いつきあいなので俺も小さい頃に何度か会ったことがあるが、非常に優しくて上品な女性なので覚えている。

女性の父親は去年亡くなった。女性は父親が亡くなるまでの数年間、介護のため実家に毎日通って父親の介護をしていた。父親の死後も母親に少し痴呆がでてきて、徘徊などをするので、その女性家族が同居して介護している。

しかし女性の兄は父親の死後「この家は自分のものだ。妹はもう嫁に出ているのだから相続権はない。母親は自分が引き取るから、早くこの家から出ていけ」と主張しているそうだ。しかし、その兄は独立後遠方に住み、父親が亡くなるまで殆ど家に出入りすることもなかったし、大学生になる子供も一度くらいしか会わせたことがないようだ。女性としては非常に納得がいかない。亡くなった父親も生前兄について「もう親子ではない」と言っていたそうだ。

母が家を訪ねるとその家には兄の名前の表札がかかっていたそうだ。兄が勝手につけてしまったとか。

女性は母親の介護のことと、兄との相続争いで憔悴しきっていたそうだ。「父親が遺言書を残してきちんとしてくれていればこんなことにならなかったのに」と嘆いていたそうだ。