浮気した妻からの請求

Aさんの奥さんがパートを始めて一年近く経った頃から、奥さんの服装が変わり、帰宅が遅い日が多くなった。なんとなくおかしいと思ったAさんは、探偵事務所に妻の素行調査を依頼、奥さんが浮気をしていることが判明した。Aさんは動かぬ証拠を突きつけて、奥さんに離婚を言い渡した。奥さんは黙って離婚届けに判を押し、離婚に応じた。もちろん子供の親権は奥さんには渡さず、Aさんが親権者になった。奥さんは何もかも失って家を出て行った。しかし、しばらくして元奥さんから内容証明郵便が届いた。財産分与として2000万円を請求する旨が書かれていた。Aさんの財産は結婚後に購入したマンションと、Aさん名義の預金があった。元奥さんは、資産形成は自分の協力があってのことなので、財産の半分は妻であった自分のものであるという主張だった。Aさんは激怒し、財産分与を断固拒否。それから被害を受けたのはこちらのほうだと、逆に慰謝料の請求を元奥さんにした。
結局、話し合いでは決着がつかず、争いは裁判に持ち込まれた。Aさんは自分の勝ちを確信していたが、裁判所の判決は、離婚原因は元奥さんにあると認めAさんへの慰謝料の支払いを命じたが、Aさんに対しても元奥さんへの財産分与を支払うように命じた。離婚する夫婦は相手側に財産分与を請求できる。それは、離婚の原因を作った側からも請求ができるのだ。結局Aさんは慰謝料を得ることはできたが、その4倍の財産分与を支払わなくてはならなくなったのである。