アルコール中毒の夫

私の叔母は、夫である叔父の酒癖の悪さに泣かされて、長年、とても苦労していた。姉である私の母によく相談していて、母は「そんな男、さっさと別れなさい」と言っていたが、3人の子供のこともあり踏ん切りがつかない様子だった。なにより叔父が離婚に応じるとは思えなかった。叔母は本当に良き妻、良き母だったからだ。
叔父の飲酒の仕方は、酒癖が悪いというよりアルコール依存症という病気のように思えたが、本人に自覚がなく専門の病院での受診を勧めても、頑なに拒否した。叔父の依存症はどんどんひどくなり、飲酒した店で人を殴って怪我をさせたり、叔母や子供を殴るようにまでなった。限界を感じた叔母は離婚を申し出たが、案の定叔父は逆上。暴言を吐きながら叔母に殴る蹴るの暴行を働き、叔母はいとこ達を連れて私の家に逃げてきた。みかねた母が叔母を連れて弁護士事務所に離婚の相談に行った。
アルコール依存症は回復の見込みの可能性が高いと判断され、それだけの理由では離婚は難しいらしい。アルコールが原因で叔母がこんなに苦しんでいるというのに法律ってなんなのと思ったが、叔母や子供への暴力行為は離婚の正当な理由になるそうだ。「暴力は傷害という犯罪です。家族だから許されるものではないのです。お子さんのためにも、生活環境を変えてあげた方がよいですよ」と弁護士さんの言葉に背中を押され、叔母は勇気を出して叔父と対峙することを決意した。