兄の嘘

会社の後輩から相談を受けた。後輩の父親は1年前に他界している。母親はもう10年も前に他界しているそうだ。両親が他界してしまったので、家族は3つ上の兄だけになってしまったそうだ。兄とは小さいころからとても仲が良く、野球の得意な兄は彼に熱心に野球を指導してくれたそうだ。そのお陰で彼は今も大学時代のOBの野球部のエースピッチャーとして活躍しているそうだ。他にも兄から影響したものは沢山あり、大人になってからも何か悩みがあるときは全て兄に相談しているらしい。
父親は3年前に癌が発覚。もって一年と言われていたが、結局3年生きたそうだ。
兄は父の葬儀の後、遺言書が出てきたと言ってきたそうだ。内容は「兄に3/4、弟に1/4ずつ財産を分配する」という内容だったそうだ。父親はいつも兄弟平等にと言ってきたのに、なぜ財産は兄の方が多いのかと不思議に思ったが、やはり財産というのは長男が多く受け取るものなのかと思い、遺言書通り、1/4だけ受け取ったそうだ。
しかし最近になり兄から「実は、あの遺言書は俺が書いたものなんだ。実はすぐに返さなければならない借金があって、どうしてもお金が必要だったんだ。お前に嘘をついて本当に申し訳ないと思っている。いつかお金が貯まったら、俺が多く貰った分をお前に返していこうと思っているから、頼む許してくれ」と土下座されたそうだ。彼は「遺言書の偽造って犯罪だぞ!そんなこと許されると思ってるのか!死んだ父さんが悲しんでるぞ!」と言ってその場から出てきてしまったそうだ。今、彼は兄を許すべきかどうか迷っているそうだ。