父親の借金

会社の同期の父親が数ヶ月前に亡くなったそうだ。同期の両親は彼が幼いころに離婚していて、母子家庭で育ったらしい。父親は酒癖が悪く、酔うたびに暴れ母親に暴力をふるうため離婚したそうだ。母子家庭と言っても、祖父母や母親の兄一家と同居していたため、父親がいなくて寂しいと思った記憶はまったくなく、会いたいとも思わなかったそうだ。しかし父親の希望で20歳になったときに一度だけ会って酒を飲んだそうだが、会わない期間が長かったせいかまったく父親と言う感じがしなかったそうだ。
父親はその後再婚し、子供もいたらしい。「若いころは酒びたりになってしまって、お母さんやおまえを随分酷い目に遭わせてしまった。申し訳ないと思っている。ごめんな」と謝られたそうだ。
それ以来会ってなかったので、父親が亡くなったときいて葬式に参列したそうだが、悲しさなどもなく、他人の葬式に参列している気分だったらしい。
そしてその葬式から4カ月過ぎたある日、父親の借金の督促状が送られてきたそうだ。まさか自分にそんなものが送られてくるとは思いもしなかった同期は、びっくりして確認したところ父親の現在の奥さんと子供が相続放棄をした為に、同期の所に督促状が送られてきたようだ。相続放棄は亡くなったと知った日から3カ月経過しているとできないと聞いていたので、すぐに弁護士に相談したところ、基本は亡くなってから3カ月だが、借金があったことを知らなかった場合は3カ月すぎても相続放棄できると言わたらしい。まさか殆ど会っていない父親の借金の相続トラブルに巻き込まれるとは思いもしなかったと言っていた。