祖父の遺産凍結

長年、祖父の介護に追われていた友人の母親。祖父には痴呆があったが、若いころからスポーツで鍛えていた足腰はとても丈夫だったため、目を離すと徘徊する癖があった。一度は隣の町まで歩いて行ってしまい、警察のお世話になったこともあったそうだ。母親は一時も目を離すことができず、また友人も母親の外出時には祖父が徘徊しないよう、見張っていなければならなかった。
その祖父が一年前に亡くなった。母親も友人も悲しさはあったが、正直ほっとしたそうだ。しかし亡くなってからも母親を悩ませるトラブルが発生してしまったそうだ。相続トラブルだ。
祖父の財産は全て銀行にあり、死後、財産が凍結された。凍結を解除するには相続人全員の印鑑証明や遺産分割協議書などが必要なのだが、母親の兄が数年前から行方不明になっているそうだ。兄の所在がわからなければ、祖父の財産は実の娘でも引き出すことができない。実は母親の兄は飲食店の経営に失敗、多額の借金を抱えてしまったそうだ。いくらかは祖父に出して貰ったそうだが、それでも足りなくなり、逃げてしまったそうだ。数年前に携帯電話に連絡したら、北海道にいるといっていたそうだが、その後携帯は通じなくなってしまったらしい。あらゆる手を尽くして、探したが一年すぎても見つからないそうだ。とりあえず母親の相続分だけでも引き出せるように、現在銀行に交渉中とのことだ。